全てのオブジェクトを操作するためのモジュール。
ObjectSpace._id2ref(id)オブジェクト ID(Object#__id__)からオブジェクトを得ます。 対応するオブジェクトが存在しなければ例外 RangeError が発生し ます。
ObjectSpace.define_finalizer(obj, proc)
ObjectSpace.define_finalizer(obj) {|id| ...}obj が解放されるときに実行されるファイナライザ proc を 登録します。同じオブジェクトについて複数回呼ばれたときは置き換えで はなく追加登録されます。
proc には、ファイナライザとして Proc オブジェクトを渡 します。ブロックを指定した場合は、そのブロックが proc になり ます(しかし、後述の問題があるのでブロックでファイナライザを登録す るのは難しいです)。
ファイナライザ proc には引数として obj の ID(Object#__id__) が渡されます。
以下は、define_finalizer の使い方の悪い例です。
class Foo
def initialize
ObjectSpace.define_finalizer(self) {
puts "foo"
}
end
end
Foo.new
GC.start
これは、渡された proc の self が obj を参照しつ
づけるため。そのオブジェクトが GC の対象になりません。
ruby-src:lib/tempfile.rb は、ファイナライザの使い方の 良い例になっています。これは、クラスのコンテキストで Proc を 生成することで上記の問題を回避しています。
class Bar
def Bar.callback
proc {
puts "bar"
}
end
def initialize
ObjectSpace.define_finalizer(self, Bar.callback)
end
end
Bar.new
GC.start
proc の呼び出しで発生した大域脱出(exitや例外)は無視されます。 これは、スクリプトのメイン処理が GC の発生によって非同期に中断され るのを防ぐためです。不安なうちは -d オプションで 事前に例外の発生の有無を確認しておいた方が良いでしょう。
class Baz
def initialize
ObjectSpace.define_finalizer self, eval %q{
proc {
raise "baz" rescue puts $!
raise "baz2"
puts "baz3"
}
}, TOPLEVEL_BINDING
end
end
Baz.new
GC.start
# => bazObjectSpace.each_object([class_or_module]) {|object| ...}class_or_module と kind_of? の関係にある全ての オブジェクトに対して繰り返します。引数が省略された時には全てのオブ ジェクトに対して繰り返します。
ただし、次のクラスのオブジェクトについては繰り返しません: Fixnum, Symbol, TrueClass, FalseClass, NilClass
とくに、class_or_module に Fixnum や Symbol などのクラスを指定した場合は、 何も繰り返さないことになります。
なお、Symbol については、かわりに Symbol.all_symbols が使用できます。
繰り返した数を返します。
ObjectSpace.garbage_collectどこからもアクセスされなくなったオブジェクトを回収します。 GC#start と同じです。
nil を返します。
ObjectSpace.undefine_finalizer(obj)obj に対するファイナライザをすべて解除します。
obj を返します。
以下は、ファイナライザの古いインタフェースです。使用すると警告メッセー ジが出力されます。
ObjectSpace.add_finalizer(proc) ((<obsolete>))proc をファイナライザとして設定します。
call_finalizer で指定したオブジェクトが解放され る時、そのオブジェクトの ID(c.f Object#__id__)を引数に ファイナライザが評価されます。
proc を返します。
このメソッドは、obsolete です。代わりに ObjectSpace.define_finalizer を使用してください
ObjectSpace.call_finalizer(obj) ((<obsolete>))obj をファイナライザの対象オブジェクトとして設定します。
obj を返します。
このメソッドは、obsolete です。
ObjectSpace.finalizers ((<obsolete>))現在登録されているファイナライザの配列を返します。
このメソッドは、obsolete です。
ObjectSpace.remove_finalizer(proc) ((<obsolete>))指定した proc をファイナライザから取り除きます。
proc を返します。
このメソッドは、obsolete です。代わりに ObjectSpace.undefine_finalizer を使用してくださ い。